Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「いや、いっこう」
「ボールでございますか?」
「林檎ですよ」
「なるほど、お台所のお写生でございますな」
「静物です」
「ははあ。林檎とビールびんでございますね」
と安斉先生は今さらテーブルの上においてあった実物に気がついた。照正様のは実物と比較しないとわかりにくい。先生はボールにバットだと思ったのである。もっともひとりで立っているバットなんかあり得ない。先生も絵心がなさすぎる。
「このビンの色がナカナカ出ません」
「それで結構でございましょう。一枚お下げわたし願いたいものでございますな」
「これをさしあげましょうか?」
「いや、いただくとなれば、ご注文がございますぞ」
「その額になっているお徳利はいかがですか? 色がよく出ているとおっしゃって、先生がほめてくださいました」
「もっと勇壮なものがほしいです」
「ははあ」
「人物画はお描きになりませんか?」
「やはり習っています」
「南朝の忠臣楠正成はいかがでございましょう?」
「武者絵は困りますな。油や水彩の方ではあまりやらないようです」
「なるほど。それでは予譲はいかがでございましょう?」
「はあ?」
「士は己れを知るもののために死す。