Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕もあんまり見たくはないんだが、見たいッて云っちまったんでね。………」

「いつ?」

「いつだったか、そう云ったことがあるんだよ。ひどく熱心に人形芝居を讃美するもんだから、つい老人を喜ばすつもりで合い槌を打ってしまったんだ」

「ふふ」

と彼女は、あかの他人に対するようなあいそ笑いを笑った。

「そんなことを仰っしゃるから悪いんじゃないの。いつもお父さんに附き合ったことなんかない癖に」

「まあとにかく、ちょっとだけでも行った方がいいんだけれどな」

「文楽座って一体どこなの?」

「文楽座じゃあないんだよ。文楽座は焼けちまったんで、道頓堀の弁天座という小屋なんだそうだ」

「それじゃどうせ据わるんでしょう? 敵わないわ、あたし、―――あとで膝が痛くなっちまうわ」

「そりゃあ茶人の行くところだから仕方がないやね。―――お前のお父さんも先にはあんなじゃあなかったし、活動写真が好きだった時代もあったんだが、だんだん年を取るに連れて趣味が皮肉になって行くんだね。この間或る所で聞いたんだが、若い時分に女遊びをした人間ほど、老人になるときまって骨董好きになる。書画だの茶器だのをいじくるのはつまり性慾の変形だと云うんだ」