Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
近江屋の番頭の宇八が、谷中の森で殺された後、何彼とそこに用事のある八五郎が、茶店の女房お銀とすっかり馬が合って、間がな隙がな、五重の塔の下へ行ったのも無理のないことでしょう。
眉を剃った跡の青い、黒々と鉄漿をつけた、お銀の悩ましさはお雪とはまた別に八五郎の心を囚えたのです。
「大変、親分」
その八五郎が、例の前触れと一緒に飛び込んで来たのは、ある日の朝、平次の野孤禅が漸く煙草の煙の中に解け入って大悟の妙境に入ろうとするころのことです。
「相変らず騒々しい野郎だ。何が大変なんだ」
平次はとぐろをほぐして、煙草をくわえたままの首をネジ向けました。
「佐久間町のお雪の家へ、変なものを投り込んだ奴がありますよ」
「また小判の入った財布でも投り込んだのか」
「そればかりじゃありませんよ。癪にさわるがあっしには見当もつかねえ、判じものですよ。親分」
八五郎は膝ッ小僧を並べて坐ると、深々と懐中の中にしまい込んだ、手拭包みの一と品を取出して、平次の前へ押しやるのです。
「色文じゃないだろうね、――お前の眼の色から鑑定すると、お雪坊に新らしい男が出来たという筋らしいが――」