Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「あッ、それだッ」

「追っ駆けて見ましょうか」

「無駄だろうよ。前々から企んで逃げ出したに違げえねえ、――それより定吉の叔母さんに訊いてみよう、お前は先へ飛んで行ってくれ」

「ヘエ、それじゃ親分」

八五郎は親分と附合なくても宜いとなると、逸れた奔馬のように駆けて行きます。

それは柳原の土手でした。夜分は辻斬りと夜鷹を名物にしている物騒なところ、春の夜の朧の中に立って、平次は足弱のお里が来るのを、やや暫らく待たなければならなかったのです。

「小母さんだね」

「あ、銭形の親分、――私はびっくりしました、悪者かと思って」

お里は立ち留って、ハアハア息をきりながら、弱そうに胸を抱いております。

「変なことを訊くようだが、先刻本所から来た使いの男を、お前さんは知って居るのかえ」

「いえ」

お里の顔は、無智で、無関心で何んの疑惑の影もありません。

「少し気になることがあるんだ、――すると本所の家には、だれが病人の世話をして居るんだ」

「病人と申しても、足腰の起たないほどじゃございません。晩の食物の用意をして、あとはお隣りへ頼んで来ました」

「先刻の男はそのお隣りの人ではないのだね」