Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
た。
それと、宮本村を辞して、山越えで佐用へ出て来る途中――殊に竹山城から少し先の低い山肌には、可憐な鉄砲百合がたくさん咲いていて、その一枝を自動車の中に持ちこんだところ、咽せるような匂いで、揺られ揺られ百合の香に酔ったことなども、津山市から姫路へ出るまでの長い道を、旅情といったようなものに尠からず慰められて来たことであった。
巌流島を訪れたのは、その後、新春の一月、やはり史料漁りに、熊本まで行った帰り道だった。
つい先頃、某社の記者が、鈴木文史朗氏の言伝てですがといって、
「この間、巌流島へ行って見て来たが、当時の遺跡や、土地の口碑を聞いて、いろいろ面白かったよ。吉川君に会ったら話してやりたいが」
と、消息を齎してくれたが、まだ鈴木さんにはつい会う折がない。
実のところ、私は、巌流島まで渡ったのではなく、対岸の小倉市外の山から地形を俯瞰したり、向山の武蔵塚を歩いたり、朝日新聞支社の人々の手をわずらわして、短時日に史料や口碑を漁って来たのであって、そこの地を踏まれたという鈴木さんの話にはまた、何か新しい話材が聞かれるに違いないとは思っているが、遑がないので先ず、自分の旅嚢だけをここでは開けて見ることにする。