Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
そういう武蔵。いろいろな角度から、観る者の眼ひとつで、いろいろに観られる武蔵。
従って、名人論、非名人論、古くから毀誉褒貶のなかに彼の名は漂わされて来た。私はまた小説に書いた。
小説は必ずしも史実を追っていない。ただ古人の足あとをたよりに、その内面のこころへ迫ってみるしか為すすべはないのである。殊に、武蔵のような史料の乏しい人物をとらえて、書くということは、土中の白骨へふたたび血液を通わせてみようとする所業にもひとしい。よほど盲目か不敵かでなければ思い立てた仕事ではない。
敢て不敵になって、書きはしたが、小説が読まれれば読まれるほど、作家の創意と、正伝の史実とが、将来、混淆されてゆかれそうな惧れがある。
薔薇を植えた者が、自ら薔薇を刈るに似ているが、小閑の鋏で、あちこち、少し史実と創意の枝とを剪定して、この一輯を束ねておくことにした。
文学的信念が小説にはないからだろうと。友よ、笑う勿れ。この不敵者にも、多分な臆病がある。
大衆は大智識であるからである。
それと、自分の景仰する古人に対して、当然な、礼としても、私は畏れる。
昭和十四年・仲春
於草思堂