Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

その頃まだ、小説は起稿していなかったが、武蔵については、名人である、いや名人とは言えないなどと、直木三十五や菊池寛など、同人間でとかくよく話題になっていたし、武蔵の絵などが、そう風呂敷につつまれて、簡単に先から持って来てくれるわけのものでないくらいは自分も知っていたからである。

しかし、これは名幅です。どこやらに出品したこともありますし、それに箱書は、渡辺崋山がいたしておりますので――とその店員がいうので猶さら、吹出してしまいたくなった。そして、風呂敷から解かれる間にも、一つ二つぐらい、減らず口をいったと思う。

ところが、この減らず口の罰があたってしまったことになった。というのは、折角、箱の蓋まで取って示すので、何気なく見ると、私も驚いた。ほんとに崋山が書いている。一見、真蹟である。例の崋山の力のある筆致で箱の裏に字句は忘れたがたしか短く二行ほどに書いてあったかと記憶する。勿論、印顆も明晰に捺してあった。

箱は真物だね。とまだそんなことをいったかと思う。そして幅を一展した。聯落ぐらいな、そして紙中もめずらしく疲れのない、古びも程よい幅である。私は幅を下へ展いて来ながらあの枯木と鵙の水墨にまったく恍惚と魅せられてしまった。