Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
若い逞ましい武者たちに伍して、いや先頭をも争って、彼も、原城の石垣を、城乗りにかかったと見るべきである。そこで、老足と自嘲したり、また、敵の落した石に当って、脛も立てないでいると述べている。
先に掲げた寺尾左馬宛の手紙は、この島原攻めの時より数年後のものであるが、その文中にも、「……われら儀、年まかり寄り」といったり、「人なかへまかり出るべき様子にもござなく」といい、さらには「――兵法も罷り成らざる体に御座候」と述懐していて、何やら、非常に自身の老いを嘆じているような所がみえる。
しかし、これは、われわれの観念にある「老い」とはだいぶ隔りのあるものであることはいうまでもない。老格熟達の風を尊ぶ古人たちの間では、四十歳をこえるともう自ら叟といったり翁と自称したりしている例はたくさんにある。――正しく年齢的に考えてみると、武蔵が、熊本へ行って、細川忠利に客分として遇せられたのが、島原陣の三年後、寛永十七年のことであり、その時武蔵が五十七歳であったと(一説に五十五)いわれているから、この島原役当時、彼はまだ、五十三歳でしかなかったわけだ。単に、老いを嘆ずるには、余りにまだ早すぎるといわなければならない。