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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいねんのしさくのために

青年の思索のために

下村 湖人

Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

岩壁にしたたる水

こうした生きるか死ぬかの瀬戸ぎわになっても、国民が、めいめいの心の至深所に坐して静を守り、一切の浮薄なものを捨ててお互いに手をさしのべるような気持になり得ないとしましたら、日本は果していつの日に真に更生の喜びを味わうことが出来るのでありましょうか。私はK君の話を思いうかべながら、しみじみそう思わないではいられません。

岩壁にしたたる水

K君のもう一つの話は、炎天下に、ある任務を負うて山路を歩いていた時の体験談でした。

「一行五名で、焼けつくような岩壁ぞいの道を、およそ五里ほども歩いたころだったでしょう。路面から一尺ほどの高さの岩の裂目から、水がほそぼそと流れおちているのが見つかりました。流れおちているというと、かなりの水量のようにきこえますが、実は、岩の表面が十センチぐらいの幅にしめっている、といった方が適当なぐらいの、貧しい水だったのです。

しかし、その時はもう、みんなの水筒がからになってから二時間以上もたっていましたので、そんな水でもとても見過ごしには出来ませんでした。最初にそれを見つけた兵は、いきなり飛びつくようにそこに走って行って、そのしめりに唇をあて、舌をぺろぺろと動かしはじめましたが、それは、まるで、赤ん坊が母の乳房をさぐりあてた時の恰好そっくりでした。