Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
僕はもう、母をうらむどころではありませんでした。一ときも早く起きあがって母にあやまらなければならない、という気で一ぱいだったのです。しかし、僕が起きあがる前に、母の手がもう僕を抱きあげていました。その時に見た母の眼のやさしさは、今に忘れられません。」
継母はいいました。――
「あたしは、あの子が二階にあがって行く様子が、何だかおかしいので、すぐ、あとをつけたのでした。そして、ひさしの方に逃げ出したのを見ると、いよいよあやしくなり、あくまでもおいつめて問いただして見る気になっていたのです。ところが、あの子が足をふみはずしたのを見て、はっとした瞬間、あたしはもうあの子をとがめるどころか、あたし自身を責めていたのです。あたしの愛が足りなかったために、とうとうこんなことになってしまった。すまない、すまない。そんな気で一ぱいだったのです。
で、大いそぎで庭にとびおりて見ると、あの子は、今までに見たことのない、あわれみを乞うような眼をして、あたしの顔を見ているではありませんか。あたしは、ただもう涙が出て仕方がありませんでした。」
つまり二人は、この不幸な事件を契機として、他を責める前に自らを責める心境に変っていたのです。