Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
」
渡された辞令は重役任命の辞令でありました。一職工から重役へ、これはたしかに最高の優遇であったにちがいありません。ところで、その辞令を見つめていた老職工は、喜ぶと思いのほか、いかにもけげんそうな顔をしてたずねました。
「社長さん、これは何かのおまちがいではありませんか。」
「いや、まちがいではない。君の永年の功績に対する報酬としては、実はそれでも足りないと思っているくらいなのだ。」
すると職工はいよいよけげんそうな顔をして、つめよるようにいいました。
「功績に対する報酬ですって? 社長さん、これは私にとっては、ちっとも有りがたい報酬ではありません。それどころか、私はこれで私の命を奪われたことになります。」
「何? 命を奪われたことになる? それはいったいどういう意味なのだ。」
「社長さん、私は年をとりましても、工場で働いているかぎりは生き甲斐を感じておりました。私の打ちおろすハンマーのひびきは私の命のひびきでした。ハンマーの先から飛び出す火花は私の命の火花でした。そしてハンマーの先から生れる製品は、すべて私の命の結晶でした。私はハンマーを握って工場に働いているかぎりは、まだまだ私の命の力を世の中にささげることが出来る自信があるのです。