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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいねんのしさくのために

青年の思索のために

下村 湖人

Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

友人は、その石がどういう石であるかもわからず、またミケランゼロがどういうつもりでそんなことを言ったのかも、その時は理解できなかった。

ところが、それから数日の後、ミケランゼロは、人夫を雇って、その石を自分のアトリエに運びこみ、セッセと鑿をふるいはじめた。そして何箇月かの後には、アトリエの中にりっぱな大理石の女神の彫像が刻みあげられていたというのだ。これは単に美術家が気に入った石を見つけて、自分の思う通りの像を刻んだというだけのことではなく、人生に生きてゆくわれわれの態度に大きな暗示を与える話だと思う。

いったいこの世の中には、われわれの周囲を見渡してもわかるとおり、最初から見事に光っているものは決して現われていない。どこもかしこも暗黒面ばかり、いやなものばかりで、ちょうど黒っぽい苔むした石っころのような感じがする。ところがミケランゼロはその中に美しい女神を見出した。それはどうしてかというと、ミケランゼロ自身の心に、すでに理想的な女神の姿が描かれていたからである。単に黒っぽい石を見ても、彼はすぐに女神の姿を思いうかべ、その石に鑿をふるって、りっぱにそれを刻みあげようという願いをおこしたのである。