Japanische Klassiker mit Furigana
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まぐろにいわし
鮪に鰯
山之口 貘
Lesen Sie 鮪に鰯 (まぐろにいわし) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.107 Zeichen · 54 Bildschirme
萎びた約束
言われてみるとついぼくも人間めいて
鮪の刺身を夢みかけるのだが
死んでもよければ勝手に食えと
ぼくは腹だちまぎれに言ったのだ
女房はぷいと横むいてしまったのだが
亭主も女房も互に鮪なのであって
地球の上はみんな鮪なのだ
鮪は原爆を憎み
水爆にはまた脅やかされて
腹立ちまぎれに現代を生きているのだ
ある日ぼくは食膳をのぞいて
ビキニの灰をかぶっていると言った
女房は箸を逆さに持ちかえると
焦げた鰯のその頭をこづいて
火鉢の灰だとつぶやいたのだ
萎びた約束
結婚したばかりの若夫婦の家なので
お気の毒とはおもいながらも
二カ月ほどのあいだをと
むりにたのんでぼくの一家を
この家の六畳の間においてもらったのだ
若夫婦のところにはまもなくのこと
女の子が生れたので
ぼくのところではほっとしたのだ
つぎに男の子が生れて
ぼくのところではまたほっとしたのだ
現在になってはそのつぎのが
まさに生れようとしているので
ぼくのところではそのうちに
またまたほっとすることになるわけなのだ
それにしてもなんと
あいだのながい二カ月なのだ
すでに五年もこの家のお世話になって
萎びた約束を六畳の間に見ていると
このまま更にあとなんねんを