Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぐろにいわし

鮪に鰯

山之口 貘

Lesen Sie 鮪に鰯 (まぐろにいわし) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.107 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

土地〈1〉

土地〈2〉

お金を受取った

八十二さいになったという

老婆の顔色をひと廻り

あととりむすこが見て言った

うっかり死ねない世の中なんだぞ

棺桶ひとつが千両もするんだと言った

そこで話はすぐにまとまって

お金は葬式代に化けるため

老婆の手からあととりむすこの手に落ちた

竹林はたちまち

まばらになって

筑波山が見えると老婆がつぶやいた

土地〈1〉

利根川を渡って

私鉄にのりかえると

いきなり車内が

この土地らしくなるのだ

やろう ばかやろ

このやろだのと

そんな言葉がやたらに耳にはいって来て

この土地らしくなってくるのか

困ったところに

疎開したものだと

この土地生れの女房に話しかけると

女房はいささかあわてたのだが

このばかやろがと

言いそこなったみたいに

沖縄生れの

くせにと来たのだ

土地〈2〉

東に柿の木 西には樫の木

南は栗の木まじりの松林

北から東へかけて竹林

竹林を背にしてそこに

古ぼけたトタンの屋根をかむって

首をかしげてたたずんでいる家

ここがぼくらの疎開先で

女房の里の家なのだ

奥のくらがりにいた老婆が

腰をあげて縁側に出て来たのだが

よく来たなあと歯のない口を開けた

女房の妹によく似た顔だ

老婆は両手をさしのべながら