Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぐろにいわし

鮪に鰯

山之口 貘

Lesen Sie 鮪に鰯 (まぐろにいわし) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.107 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

桃の木

不忍池

爺さんごはんです

婆さんごはんですとこえがかかり

ふたりの膝元にはそれぞれの

古びた膳が運ばれて来るのだ

膳はいつもとぼけていた

米のごはんの外にも

思想の自由

言論の自由というような

あぷれげえるとかものっかってはいるのだが

なんのかんのと言えばすぐにも

だまって食ってろとやられる仕組みの

配給だけがのっかっているのだ

爺さん婆さんはだまって

その日その日の膳にむかい

どこまで生きるかを試めされているみたいに

配給をこづいてはそれを食うのだ

ある日の朝のことなのだ

膳になるにはまだ早かった

庭には桃の花が咲いていた

爺さんも婆さんも庭へおりると

腰の曲りをのばしたりしていたのだが

天に向って欠伸をした

不忍池

池をたずねて来たのだが

芝生のうえにぼくは見たのだ

このまっぴるまかれらはそこにいて

まるでもう舶来みたいに

これ見よがしの接吻をした

ひとりは角帽

ひとりは緑の服なのだ

池はすでに戦争のおかげで

代用の田圃になりかわっていたのだが

接吻の影など映すてだてもなく

田圃のまんまひからびているのだ

そこを出ると

出たところには

わずかばかりの水がにじんでいて

そこより外には行きどころもない