Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぐろにいわし

鮪に鰯

山之口 貘

Lesen Sie 鮪に鰯 (まぐろにいわし) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.107 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

ぼろたび

癖のある靴

月見草談議

自筆のペン字の書体を拡大し

念入りにそれを浮彫りにしたのだ

ぼくは時に石段の下から

ふり返って見たりして街へ出かけたのだ

ところがある日ぼくは困って

表札を取り外さないではいられなかった

ぼくのにしてはいささか

豪華すぎる表札なんで

家主の月田さんがいかにも

山之口貘方みたいに見えたのだ

ぼろたび

季節はすでに黄ばんでいた

公園のベンチをねぐらにしている筈の

食うや食わずの詩人のかれが

めしを食いに行こうと来たのだ

食うや食わずにビルディングの

空室をねぐらにしている詩人のぼくが

どうなることかともじもじしていると

かれは片方のぼろたびを脱いで

逆さにそれを振ってみせたのだが

めし代ぐらいはあるとつぶやきながら

足もとの銀貨を拾いあげた

癖のある靴

投げて棄てた吸殻の

火を追って

靴がそれを踏んづけたのだが

おもしろいことをする靴なのだ

いつもの癖で

止むを得なかったにしても

巷は雨でぬれているのだ

月見草談議

昼間の明るいうちは眼をつむり

昨日の花もみすぼらしげに

萎びてねじれたほそい首を垂れ

いまが真夜なかみたいな風情をして

陽の照るなかをうつらうつら

夢から夢を追っているのだ