Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いーはとーぼのうがっこうのはる

イーハトーボ農学校の春

宮沢 賢治

Lesen Sie イーハトーボ農学校の春 (いーはとーぼのうがっこうのはる) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.726 Zeichen · 120 Bildschirme

Aozora Bunko

草の中には、牛が通った痕らしく、かすかな路のようなものがありました。達二は笑いました。そして、(ふん。なあに、何処かでのっこり立ってるさ。)と思いました。

そこで達二は、一生懸命それを跡けて行きました。ところがその路のようなものは、まだ百歩も行かないうちに、おとこえしや、すてきに背高の薊の中で、二つにも三つにも分れてしまって、どれがどれやら一向わからなくなってしまいました。達二は思い切って、そのまん中のを進みました。けれどもそれも、時々断れたり、牛の歩かないような急な所を横様に過ぎたりするのでした。それでも達二は、

(なあに、向うの方の草の中で、牛はこっち向いて、だまって立ってるさ。)と思いながら、ずんずん進んで行きました。

空はたいへん暗く重くなり、まわりがぼうっと霞んできました。冷たい風が、草を渡りはじめ、もう雲や霧が、切れ切れになって眼の前をぐんぐん通り過ぎて行きました。

(ああ、こいつは悪くなってきた。みんな悪いことはこれから集ってやって来るのだ。)と達二は思いました。全くその通り、俄に牛の通った痕は、草の中で無くなってしまいました。

(ああ、悪くなった、悪くなった。