Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

暫らく手入れをしなかったが名刀の光は曇らず、それを見ていると過ぎにし年の大菩薩峠の悲劇がありありと思い出されるのです。こうして短刀を眺めながら、ひとりつくづく思案に耽っていると、

「これお前様、心得違えをしてはなんねえ!」

後ろから飛びついてお松の両手を抱きすくめたのは、薬取りから帰った与八です。

「飛んでもねえこんだ、刃物なんぞを持って」

「与八さん、勘違いをしてはいけません、ただこうしてながめていたばかりよ」

お松は、与八の驚き方があまりに大仰なのでおかしくなったのですが、与八はまた、お松が永の病気から身の上を悲観して自害でもするつもりと勘違いをしているので、お松の手から短刀をもぎ取って、

「危ねえ、こりゃ俺が預かる」

与八は鞘を拾って納めて包み直すと、お松は微笑して、

「ああ、それではお前さんに預けておきましょう……それよりは、いっそのこと」

お松はこの時ふと、売ってしまおうかという気になって、

「そんなものを持っていると危ないから、いっそ売り払ってしまいましょう、与八さん、御苦労ですが刀屋さんに見せて来てちょうだい」

「お前様これをお売りなさるのか」