Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「道庵先生への薬礼はどうなさるつもりだえ」
「伯母さま、実を申し上げれば、今のところ……」
「もうお金は無いのかい」
「ええ……」
面を赧らめていると伯母は、
「わたしの方でも、お前にだいぶ借金がありますが、今々というわけにもいかず、困ったねえ」
困った面をして、
「道庵先生はああいう変人だから、少しぐらい延びたって何とも思いなさりゃしますまいが、それならそのように、なおさら早くお礼をしないと。それにお前だって、これから身を定めるには物要りがつづきますからね、何とかしなければ」
「左様でございますね」
「あのね、あんまり立入ったことだけれども、お前なにか金目の物を持っていやしないかね、売るとか質に入れるとかして、纏まったお金の手に入るようなものを」
「それは、どうも」
「あれは何だね、お前あの手文庫の中にあったもの、錦の袋に包んだ短刀のようなもの、あれはお金になりそうだね」
お滝が早くも眼をつけたのは、ずっと昔、お松が裏宿の七兵衛から貰った藤四郎の短刀です。
お松は返事に困って、この伯母という人の性根がどこまで卑しくなったかと、それを悲しむのみであります。
お滝がその品を道具屋に見せてごらんとすすめて帰ったあとで、お松は思い出したように、手文庫を調べて錦の袋に入れた短刀を取り出して鞘を払ってながめました。