Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

今の絶叫を聞咎めたのは、御成門外で駕籠を捨てた宇津木兵馬の一行です。

「人殺しと聞えた」

介添に来た片柳伴次郎が小首を傾ける。

「たしかにあの松原の中」

兵馬は松原の木の下闇を見込む。

「見届けて来ますべえか」

提灯を持った与八が松原の中へと進んで行く。松原の中へ入りこんだ与八、松の木にバッタリ、

「あ痛え」

額を押えてみると、ぷんと血の香。

「はて……」

提灯を差しつけると、そこの松の木の根に人がある。

「えッ、人が――」

それは女、胸のあたりからベットリと土にまで流れた血。

「皆さん、女が殺されている」

大事の前、それでも人の一命と聞いて見過ごすわけにはいかない。

「ああ、酷たらしい殺され方」

「それ、血が袴の裾に」

「傷はどうじゃ」

「胸を一突き」

「もっと提灯を近く」

「ああかわいそうに。乳の下を突かれたのかね」

提灯を突きつけてオドオドしていた与八は、

「おや、なんだか見たことのあるような女衆だ」

与八は死人の面に自分の面を摺りつけるようにして、

「もし……この女衆は……お浜さま……」

不安の色で兵馬を見上げて、

「兵馬様……お前様もよくこの女衆の面を見て下さいまし、気のせいか、文之丞様の奥様に似てござる」