Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
七兵衛は妻恋坂から本郷元町の山岡屋の前まで来る。山岡屋は戸が締まって売家の札が斜めに貼られてある。
暫らく立って見ていると、
「もし旦那」
後ろから呼びかけたのは紙屑買い。
「私ですかえ」
「へえ、左様で」
「何ぞ御用かえ」
「へえ、別に用というわけでもございませんが、旦那様はさいぜんからこの店の模様をごらんになっておりまするが……」
紙屑買いは手拭を畳んで冠った額越しに七兵衛の面を仰ぎ、
「山岡屋のことで何かお聞きになりたいならば、私がよく知っておりますから」
妙な差出口をする男であるが、べつだん懐中から十手が飛び出しそうにもないから、これには何か仔細があるだろうと七兵衛は、
「それは幸い。山岡屋さんは今どこへお引越しになりました」
「それには長いお話があります。旦那様どちらへおいででございますか、なんなら歩きながらお話を致しましょう」
「私は新宿の方へ行きますが」
「それなら私も四谷の方へ参りますから、御一緒にお伴をしながら、山岡屋没落の一代記をお話し申すことに致しましょう」
七兵衛は気味の悪い紙屑買いと思いながらも、まあ何を言い出すか聞くだけ聞いてやろうと、道づれになって歩き出すと、