Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
右の両人は、この近まわりに盗賊のはやることを話し合っていたが、結局、
「どろぼうが怖いのは物持の衆のことよ、こちとらが家はどろぼうの方で怖れて逃げるわ」
ということに落ちて、笑って立とうとする時に、峠の道の武州路の方から青葉の茂みをわけて登り来る人影があります。
「あ、人が来る、お武家様みたようだ」
二人は少しあわて気味で、炭俵や糸革袋が結びつけられた背負梯子へ両手を突っ込んで、いま登り来るという武家の眼をのがれるもののように、社の裏路を黄金沢の方へ切れてしまいます。
二
ほどなく武州路の方からここへ登って来たのは、彼等両人が認めた通り、ひとりの武士でありました。黒の着流しで、定紋は放れ駒、博多の帯を締めて、朱微塵、海老鞘の刀脇差をさし、羽織はつけず、脚絆草鞋もつけず、この険しい道を、素足に下駄穿きでサッサッと登りつめて、いま頂上の見晴らしのよいところへ来て、深い編笠をかたげて、甲州路の方を見廻しました。
歳は三十の前後、細面で色は白く、身は痩せているが骨格は冴えています。この若い武士が峠の上に立つと、ゴーッと、青嵐が崩れる。谷から峰へ吹き上げるうら葉が、海の浪がしらを見るようにさわ立つ。