Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「何が無理だい、お前が人のおかみさんならば、わしの言うことが無理かも知れないが、お前は定まる夫のない身ではないか、それにわしが思いつめたのが無理かい」
「ああ、わたしは、どうしてよいかわからない――」
「わからないことはないのだよ、わたしと一緒に、お前が逃げてくれさえすれば、わしは全く心を入れかえて、お前が商売をしろと言えば商売もする、江戸へ行きたいといえば江戸へ行く、どうしてお前のからだに、こんな怖ろしい刃物なんぞを当ててよいものか……お前を大切の大切のものにして可愛がるのだよ、薬屋やお陣屋へ火をつけるなんぞ、そんな大それたことを、誰が好きこのんでやるものかな……お豊さん、もう一ぺん考え直して下さい、わしは、お前が思い切れない――」
金蔵はお豊の胸倉をはなして、その手で滝のように落ちる自分の涙を拭きました。無体の恋慕ながら真剣である、怖ろしさの極みであるけれども、その心根を察してやれば不憫でもある。
「金蔵さん、わたしには、わからない、どうしてよいのかわかりません」
「お豊さん、そこで静かに考えて下さい、わしも考えるから」
お豊の見た眼に誤りはなく、机竜之助はかの伊賀の上野から、松本奎堂らの浪士と一緒になってまた大和の国へ逆戻りをして来たものです。