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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

細君の語勢は、隣座敷にいる私に、聞こえよがしであるように察しられるから、私は少々耳が痛かった。しかし、もとは私のことから出たのであってみれば、この喧嘩を知らん振りして黙っている訳にはゆかない。喧嘩の場へ飛びこんでいって、

『やめろよ。夫婦喧嘩は犬も食わないちうからな――』

何と仲裁のしようもないから、こう言ったのである。

細君は、顔ふくらして横向いた。友人は、

『君、気にかけて貰っちゃ困るよ』

と、にこにこと笑った。

私は、ひどくてれ臭かった。胸板の裏へ、何か物が閊えたような気持ちになった。

友人というのは、魚問屋の帳場に勤めていて、あまり高給を頂戴している方ではなかった。足かけ三月も、居候していれば、その家がどんな暮らしをしているかは誰にも分かる。あまり物ごとに屈託しない私でも、深く責任を感じた。

三

二月に入るとすぐ、小田原をたった。友人に都合して貰った金で、上州の高崎まで汽車に乗ったのである。

高崎の友人は、ひとり者であった。ところがこの友人は僅かな収入でありながら、一人の居候を抱えて苦しんでいた。そこへ私がころげ込んだのである。つまり居候の先輩がいた訳だ。