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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

友人は、急に三人ぐらしとなった。二人の居候は毎日、これといって用事もないのであるから酒のむことばかり考えている。それを何とか工面してくる友人の懐は、四、五日でいきづまった。友人は松本玉汗と呼び、先輩の居候は小池銀平と言った。ついに、玉汗は悲鳴をあげた。

そこで玉汗が言うに、三人でここでこうしていたのでは、近く飢えるにきまっている。だから僕がいろいろ思案した揚句、思い出したのはいま長野市にいる猪古目放太という友達だ。この男が、どうやら暮らしていることは風のたよりにきいている。その男に何とか、三人の身の振り方を相談しようではないか。何とかなるだろう。

だが、果たして猪古目が長野にいるかどうかは、しばらくたよりがなかったから、長野まで訪ねてみねば分からない。しかし、いまはもう僕の懐には一文もない。旅費がないとすれば高崎から長野まで三十六里を歩いて行かねばならないのだが、諸君なにかほかに妙案があるか。

居候二人に、何の妙案も持ち合わせないのは分かっているのである。万事、玉汗の指導にまかせることにした。

もとより玉汗は僅かな家財しか持っていないのを売り食いしてきたのであるから、いま残っているのは古本ばかりだ。