Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
それを、紙屑屋に売って五十銭できた。これで何とか、長野まで露命を繋がなければならないことになったのである。
二月八日の、春たつ朝である。さて、三人は知恵を絞った。結局その五十銭のうちから、古道具屋へ行って矢立一本と、別に短冊十枚を買った。俳行脚の者に扮し、私が発句を読み、字の上手な玉汗が短冊に筆をはしらせ、道中で役場や小学校を捜しあて、口前のうまい銀平が短冊を売って歩こう、という仕組ができたのだ。
ひる前に、高崎をたった。料峭の候である。余寒がきびしい。榛名山の西の腰から流れ出す烏川の冷たい流れを渡り、板鼻町へ入ったとき、さつま芋を五銭ほど買って、三人で分けて食べた。それから安中宿に続く古い並木を抜けた途上であったと思う。一つの小学校のあるのを発見した。そこでいよいよ商売に取りかかることになった。発句の方は私に旧稿があるし、字は玉汗がすらすらいけるからいいとして、一番しっかりやって貰わねばならないのは銀平の役目である。ところが銀平は尻ごみして動かない。
『おれは決心が鈍った』
と言って、路傍の石に腰をおろし、空を向いて瞑目した。
『高崎をたつときは、随分鼻息が荒かったが、どうしたんだい』