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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

元来、私は大めし喰いなのである。そして、掻っ込む速力がはやい。気ままにして置けば、人の二倍は食うであろう。それを、玉汗は前々から心得ている。だから、なるべく公平に、なるべく有効に、という風に思案したのに違いない。玉汗は、その作業が終えてから、

『君、蓋の方は今夜たべて、お櫃の方は明朝たべることにしよう。今夜、全部平らげてしまうと、あすという日が思いやられる。諸君よろしいか』

『よかろう』

銀平は即座に答えたが、私は黙っていた。五合の飯を血気盛りの三人で食べたのであるから、それは大蛇が蚊をのんだようなものだ。さっぱり腹がくちくなってもこないし、からだが暖かになってもこない。

空になった蓋を、米櫃の上にのせた。そして、三人は煎餅布団にくるまって寝たのである。寝るとき玉汗は、飯が凍るといけないからと言って、米櫃を自分の床の中へ抱え込んだ。行火の代用にするつもりであったかも知れないと思ったのである。

寒い夜があけて、朝となった。屋根の穴に、あかい朝の光がさしているが、指先が痛むほど温度は下がっている。誰も浄水を使いに行こうというものがないのだ。そこで私は、お神さんからお茶の一杯も振る舞って貰ってから早く朝飯にしたいと考えているが、玉汗と銀平は妙に落ちつき払っている。