Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
老父も妹も、私のところへ喜びの手紙をよこした。
産まれて一年ばかりたったとき、堪らなくなって私と家内は連れ立って京都へ行った。みゑ子は肥って可愛い。そして割合にわせの児で、もう障子の棧につかまって、座敷を横歩きに歩いていた。乳を離しても、差し支えあるまいということは誰にも分かる。私らと姉と三人で、みゑ子を東京の家へ連れてきた。
姉は、みゑ子が私の家内になつくまで、東京にいて、京都へ帰って行った。帰るとき私が東京駅まで送ってゆくと姉は横を向いて、そっと涙を拭っていた。
春が俄に私の家庭を訪れたのである。だしぬけに母となった家内は人工哺乳に、洗濯に、縫物に、乳母車を押して散歩に、朝から暮れるまで眼がまわる程の忙しさであった。みゑ子が手離しで歩きだしたと言って笑い、転んだと言っては騒ぎ、家のなかはいつも薫風瑞雲が漂った。
みゑ子は、風邪一つひかないですくすくと育った。月日は夢の間に流れて、三歳の春を迎え、みゑ子は片言まじりに歌などうたった。
話はさきに戻るが、みゑ子が京都で産まれたころ、故郷では私の若い弟に嫁を迎えた。それは私が長い間、故郷を離れて諸方を巡歴しているために、家の業である農のことがなげやりになっている。