Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
『君、困ったことになったのだよ。この二、三日、毎晩夜半になるとあの女が僕の枕元へ、影のようになって立っているんだ。便所へ行けば、廊下に立っているんだ。腕を伸ばして撲りつけようとすると、もういない。恐ろしくて眠れないんだ――君、何とかしてくれ』
と、蒼くなって言う。
『それは君、夢か現だよ。君、しっかりしろよ――』
『いや君、ほんとの幽霊だ』
『そんな馬鹿なことが――』
私は魅こまれたような思いがした。
そんなことがあってから数日後、旧盆に仲造のところに僅かなものを贈っておいた礼手紙が届いた。その末尾に、
――一週間ばかり前、森山さんの妹が磯の高い崖の上から海へ飛び込んで自殺しました――
と、書いてあった。これを読んで、
――山岡に、なんの怨みもあるまいに――
と、思ったが、全身の血が頭へのぼったかのように、背中がぞくぞくと寒くなった。
(一四・六・二)