Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
その連中も、父の姿はひどく怖れ憚ッていたが、父の帰宅のおそい夜などは、そこの洋灯の下に牛鍋や酒が展開され、何をやっているのかと思うような騒ぎ方が始まっていた。そして女中までがそっちへ行くとキャッキャッと笑いこけていて呼んでもなかなか帰って来ないといったような暮し振りを見せていた。
そのうちに、伯父の山上清が、ある晩、発作的に精神病的な兆を見せ始めたのである。みんなの枕を並べている寝床に立って、突然、放尿したのであった。これは大騒ぎだった。だが入院させて落着くと、日ならずして平常状態に返った。そして勤務先の灯台局へも勤め出したが、役所先でも、変だ――と云われ出したらしい。まもなく辞職して、しばらくは遊行坂の家で静養していた。が、その後も発作を起すと時々乱暴し出すので、ついに附添人をつけて一時郷里へ帰すことになった。佐倉へ帰ってからは、だんだん発作の回数も減ったらしく、後には健康を恢復して、麻布の竜土町に新家庭をもち、この伯父の方はまずサラリーマンなみの単調無事な生涯を終ったのであるが、しかし、どういうものか続いて次の三郎叔父が、おなじような精神病になってしまった。