Japanische Klassiker mit Furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Lesen Sie 支那游記 (「しなゆうき」) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.859 Zeichen · 105 Bildschirme
その内に隣の馬杉君は、バアか何処かへ行ってしまった。私はやはり悠々と、籐椅子に腰を下している。はた眼には悠々と構えていても、頭の中の不安はそんなものじゃない。少しでも体を動かしたが最後、すぐに目まいがしそうになる。その上どうやら胃袋の中も、穏かならない気がし出した。私の前には一人の水夫が、絶えず甲板を往来している。(これは後に発見した事だが、彼も亦実は憐れむべき船酔い患者の一人だったのである。)その目まぐるしい往来も、私には妙に不愉快だった。それから又向うの浪の中には、細い煙を挙げたトロオル船が、殆船体も没しないばかりに、際どい行進を続けている。一体何の必要があって、あんなに大浪をかぶって行くのだか、その船も当時の私には、業腹で仕方がなかったものである。
だから私は一心に、現在の苦しさを忘れるような、愉快な事許り考えようとした。子供、草花、渦福の鉢、日本アルプス、初代ぽんた、――後は何だったか覚えていない。いや、まだある。何でもワグネルは若い時に、英吉利へ渡る航海中、ひどい暴風雨に遇ったそうである。そうしてその時の経験が、後年フリイゲンデ・ホルレンデルを書くのに大役を勤めたそうである。