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Japanische Klassiker mit Furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Lesen Sie 支那游記 (「しなゆうき」) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.859 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

細君、荘子の死を嘆き、喪服を着たり何かすれど、楚の公子の来り弔するや、……

「好!」

この大声を発せるものは辻聴花先生なり。僕は勿論「好!」の声に慣れざる次第でも何でもなけれど、未だ曾て特色あること、先生の「好!」の如くなるものを聞かず。まず匹を古今に求むれば、長坂橋頭蛇矛を横えたる張飛の一喝に近かるべし。僕、惘れて先生を見れば、先生、向うを指して曰、「あすこに不准怪声叫好と言う札が下っているでしょう。怪声はいかん。わたしのように『好!』と言うのは好いのです。」と。大いなるアナトオル・フランスよ。君の印象批評論は真理なり。怪声と怪声たらざるとは客観的標準を以て律すべからず。僕等の認めて怪声と做すものは、――しかしその議論は他日に譲り、もう一度「胡蝶夢」に立ち戻れば、楚の公子の来り弔するや、細君、忽公子に惚れて荘子のことを忘るるに至る。忘るるに至るのみならず、公子の急に病を発し、人間の脳味噌を嘗めるより外に死を免るる策なしと知るや、斧を揮って棺を破り、荘子の脳味噌をとらんとするに至る。然るに公子と見しものは元来胡蝶に外ならざれば、忽飛んで天外に去り細君は再婚するどころならず、却って悪辣なる荘子の為にさんざん油をとらるるに終る。