Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
板戸一つが直ぐ町の、店の八畳、古畳の真中に机を置いて対向いに、洋燈に額を突合わせた、友達と二人で、その国の地誌略と云う、学校の教科書を読んでいた。――その頃、風をなして行われた試験間際に徹夜の勉強、終夜と称えて、気の合った同志が夜あかしに演習をする、なまけものの節季仕事と云うのである。
一枚……二枚、と両方で、ペエジを遣つ、取つして、眠気ざましに声を出して読んでいたが、こう夜が更けて、可恐しく陰気に閉されると、低い声さえ、びりびりと氷を削るように唇へきしんで響いた。
常さんと云うお友達が、読み掛けたのを、フッと留めて、
「民さん。」
と呼ぶ、……本を読んでたとは、からりと調子が変って、引入れられそうに滅入って聞えた。
「……何、」
ト、一つ一つ、自分の睫が、紙の上へばらばらと溢れた、本の、片仮名まじりに落葉する、山だの、谷だのをそのままの字を、熟と相手に読ませて、傍目も触らず視ていたのが。
呼ばれて目を上げると、笠は破れて、紙を被せた、黄色に燻ったほやの上へ、眉の優しい額を見せた、頬のあたりが、ぽっと白く、朧夜に落ちた目かずらと云う顔色。
「寂しいねえ。