Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
気の利いた蛙なんか疾くに引越して、のたり、のたりと蚯蚓が雨乞に出そうな汐筋の窪地を、列を造って船虫が這まわる……その上を、羽虫の大群が、随所に固って濛々と、舞っているのが炎天に火薬の煙のように見えました。
半ばひしゃげたままの藤棚の方から、すくすくとこの屋台を起して支えた、突支棒の丸太越に、三人広縁に立って三方に、この干からびた大沼を見た時は、何だか焼原の東京が恋しくなった。
贅沢だとお叱んなさい。私たちは海へ涼みに出掛けたのです。
(海には汐の満干があるよ、いまに汐がさすと一面の水になる。)
折角、楽みにして、嬉しがって来た女連に、気の毒らしくって、私が言訳らしくそう言いますと、
(嘸ぞようござんしょうねお月夜だったら。)
姉の言った事は穏です。
些と跳ねものの妹のをお聞きなさい。
(雪が降るといい景色だわね。)
真実の事で。……これは決して皮肉でも何でもありません。成程ここへ雪が降れば、雪舟が炭団を描いたようになりましょう。
それも、まだ座敷が極ったと言うのではなかったので。……ここの座敷には、蜜柑の皮だの、キャラメルの箱だのが散ばって、小児づれの客が、三崎へ行く途中、昼食でもして行った跡をそのままらしい。