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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろかべ

文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁

泉 鏡花

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme

Aozora Bunko

手拭は取れました。

(あれ、お二方が。)

と俯向く処を、今度はまともに睫毛を吸った。――そのお二方ですが、由紀が、唯、憚ったばかりではなかったので。すらすらと表二階の縁の端へ、歴々と、円髷と銀杏返の顔が白く、目をぱっちりと並んで出ました。由紀を抱きかくしながら踞って見た時、銀杏返の方が莞爾すると、円髷のが、頷を含んで眉を伏せた、ト顔も消えて、衣ばかり、昼間見た風の羅になって、スーッと、肩をかさねて、階子段へ沈み、しずみ、トントントンと音がしました。

二人のその婦の姿は、いつも用が済むと、何処かへ行って了うのが例なのです。

しかし、姉も妹も、すやすやと蚊帳に寝ていた事は言うまでもありますまい。

ただ不思議な事は、東京へ帰りましてからも、その後時々逢いますが、勝手々々で、一人だったり、三人だったり、姉と妹と二人揃って立った場合に出会わなかったのでございます。

――少々金の都合も出来ました。いよいよ決心をして先月……十月……再び水戸屋を訪ねました時、自動車が杜戸、大くずれ、秋谷を越えて、傍道へかかる。……あすこだったと思う、紅蓮が一茎、白蓮華の咲いた枯田のへりに、何の草か、幻の露の秋草の畦を前にして、崖の大巌に抱かれたように、巌窟に籠ったように、悄乎と一人、淡く彳んだ婦を見ました。