Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
の懐にある幼児の身にあこがれた。
この屋根と相向って、真蒼な流を隔てた薄紫の山がある。
医王山。
頂を虚空に連ねて、雪の白銀の光を放って、遮る樹立の影もないのは、名にし負う白山である。
やや低く、山の腰にその流を繞らして、萌黄まじりの朱の袖を、俤の如く宿したのは、つい、まのあたり近い峰、向山と人は呼ぶ。
その裾を長く曳いた蔭に、円い姿見の如く、八田潟の波、一所の水が澄む。
島かと思う白帆に離れて、山の端の岬の形、にっと出た端に、鶴の背に、緑の被衣させた風情の松がある。
遥かに望んでも、その枝の下は、一筵、掃清めたか、と塵も留めぬ。
ああ山の中に葬った、母のおくつきは彼処に近い。
その松の蔭に、その後、時々二人して佇むように、民也は思った、が、母にはそうした女のつれはなかったのである。
月の冴ゆる夜は、峰に向った二階の縁の四枚の障子に、それか、あらぬか、松影射しぬ……戸袋かけて床の間へ。……
また前に言った、もの凄い暗い夜も、年経て、なつかしい人を思えば、降積る霰も、白菊。