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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろかべ

文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁

泉 鏡花

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme

Aozora Bunko

(水上瀧太郎附記)

伊豆の修禅寺の奥の院は、いろは仮名四十七、道しるべの石碑を畷、山の根、村口に数えて、ざっと一里余りだと言う、第一のいの碑はたしかその御寺の正面、虎渓橋に向った石段の傍にあると思う……ろはと数えて道順ににのあたりが俗に釣橋釣橋と言って、渡ると小学校がある、が、それを渡らずに右へ廻るとほの碑に続く、何だか大根畠から首をもたげて指示しをするようだけれど、このお話に一寸要があるので、頬被をはずして申しておく。

もう温泉場からその釣橋へ行く道の半ばからは、一方が小山の裙、左が小流を間にして、田畑になる、橋向うへ廻ると、山の裙は山の裙、田畑は田畑それなりの道続きが、大畝りして向うに小さな土橋の見えるあたりから、自から静かな寂しい参拝道となって、次第に俗地を遠ざかる思いが起るのである。

土地では弘法様のお祭、お祭といっているが春秋二季の大式日、月々の命日は知らず、不断、この奥の院は、長々と螺線をゆるく田畝の上に繞らした、処々、萱薄、草々の茂みに立ったしるべの石碑を、杖笠を棄てて彳んだ順礼、道しゃの姿に見せる、それとても行くとも皈るともなく煢然として独り佇むばかりで、往来の人は殆どない。