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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろかべ

文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁

泉 鏡花

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme

Aozora Bunko

「お札を頂きます。」

――お札は、それは米袋に添えて三宝に調えてある、そのままでもよかったろうが、もうやがて近い……年頭御慶の客に対する、近来流行の、式台は悪冷く外套を脱ぐと嚏が出そうなのに御内証は煖炉のぬくもりにエヘンとも言わず、……蒔絵の名札受が出ているのとは些と勝手が違うようだから――私ども夫婦と、もう一人の若い方、と云って三十を越えた娘……分か? 女房の義理の姪、娘が縁づいたさきの舅の叔母の従弟の子で面倒だけれど、姉妹分の娘だから義理の姪、どうも事実のありのままにいうとなると説明は止むを得ない。とに角、若いから紅気がある、長襦袢の褄がずれると、縁が高いから草履を釣られ気味に伸上って、

「ごめん下さいまし。」

すぐに返事のない処へ、小肥りだけれど気が早いから、三宝越に、眉で覗くように手を伸ばして障子腰を細目に開けた。

山気は翠に滴って、詣ずるものの袖は墨染のようだのに、向った背戸庭は、一杯の日あたりの、ほかほかとした裏縁の障子の開いた壁際は、留守居かと思う質素な老僧が、小机に対い、つぐなんで、うつしものか、かきものをしてござった。

「ごめん下さいまし、お札を頂きます。