Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
勿論、蛙なぞ聞きに出掛けるものはない。……世の暗さは五月闇さながらで、腹のすいた少年の身にして夜の灯でも繁華な巷は目がくらんで痩脛も捩れるから、こんな処を便っては立樹に凭れて、固からの耕地でない証には破垣のまばらに残った水田を熟と闇夜に透かすと、鳴くわ、鳴くわ、好きな蛙どもが装上って浮かれて唱う、そこには見えぬ花菖蒲、杜若、河骨も卯の花も誘われて来て踊りそうである。
此処だ。
「よく、鳴いてるなあ。」
世にある人でも、歌人でも、ここまでは変りはあるまい、が、情ない事には、すぐあとへ、
「ああ、嘸ぞお腹がいいだろう。」
――さだめしお飯をふんだんに食ったろう―ても情ない事をいう―と、喜多八がさもしがる。……三嶋の宿で護摩の灰に胴巻を抜かれたあとの、あわれはここに弥次郎兵衛、のまず、くわずのまず、竹杖にひょろひょろと海道を辿りながら、飛脚が威勢よく飛ぶのを見て、その満腹を羨んだのと思いは斉しい。……又膝栗毛で下司ばる、と思召しも恥かしいが、こんな場合には絵言葉巻ものや、哲理、科学の横綴では間に合わない。
生芋の欠片さえ芋屋の小母さんが無代では見向きもしない時は、人間よりはまだ気の知れない化ものの方に幾分か憑頼がある、姑獲女を知らずや、嬰児を抱かされても力餅が慾しいのだし、ひだるさにのめりそうでも、金平式の武勇伝