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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろかべ

文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁

泉 鏡花

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme

Aozora Bunko

玉の緒の糸絶えておよそ幾十年の声であろう。香山の宗さん――自分で宗さんと名のるのも、おかしいといえばおかしい……あとで知れた、僧名、宗参との事であるが、この名は、しかも、幼い時の記憶のほか、それ以来の環境、生活、と共に、他人に呼び、自分に語る機会と云っては実に一度もなかった。だから、なき母からすぐに呼続がれたと同じに思った。香山の宗さん。宗さんと、母親の慈愛の手から、学校にも、あそびにも、すぐにその年上の友だちの手にゆだねられるのがならいだったからである。念のために容子を聞くと、年紀は六十近い、被布を着ておらるるが、出家のようで、すらりと痩せた、人品の好い法体だという。騎馬の将軍というより、毛皮の外套の紳士というより、遠く消息の断えた人には、その僧形が尚お可懐い。「ああ、これは――小学校へ通いはじめに、私の手を曳いてつれてってくれた、町内の兄哥だ。」と、じとじとと声がしめると、立がけの廊下から振返って、「おばさんと手をひかれるのとどっち?」「……」と呆れた顔して、「おばさんに聞いてごらん。」「じゃあ、私と、どっち。」どうも、そういう外道は、速かに疎遠して、僧形の餓鬼大将を迎えるに限る。