Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
……続きをお借り申そうと、行きかかった処でありました。転婆娘が、(あの、白菊と、私の黄ぎくと、どっちがいい、ええ坊や。)――礼さん、あなたが、乗上って、二階の欄干へ、もろ手を上げて、身もだえをしたとお思いなさい。(坊主になって極楽へおいで、)と云った。はて――それが私だと、お誂えでありましたよ。」
一寸言を切った。
「……いうが早いか、何と、串戯にも、脱けかかった脊筋から振上げるように一振り振ったはずみですわ!……いいかげん揉抜いた負い紐が弛んだ処へ、飛上ろうとする勢で、どん、と肩を抜けると、ひっくりかえった。あなたが落ちた。(あら、地獄)と何と思ったか、お奇駒さんが茫然と立ちましたっけが、女の身にすれば、この方が地獄同様。胸を半分、膚が辷って、その肩、乳まで、光った雪よりも白かった。
雪の上じゃ、些とも怪我はありませんけれども、あなた、礼坊は、二階の欄干をかけて、もんどりを打って落ちたに違わぬ。
吃驚して落しなすった、お母さんの手の仏の菊が、枕になって、ああ、ありがたい、その子の頭に敷きましたよ。」
慄然と、肩をすくめると、
「宗さん、宗さん。」
続けて呼んだが、舌が硬ばり、息つぎの、つぎざましに、猪口の手がわなわなふるえた。