Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
と云って、莞爾としたんです。
宗さん。
――菩薩と存じます、魔と思います――
いうが早いか、猛然と、さ、どう気が狂ったのか、分りませんが、踊り蒐って、白い頸を抱きました。が、浮いた膝で、使古しの箱火鉢を置き棄てたのを、したたかに蹈んで、向うのめりに手をついた、ばっと立ったのは灰ですが、唇には菊の露を吸いました。もう暗い、落葉が、からからと黒く舞って、美人は居ません。
這うよりは、立った、立つより、よろけて、確に其処へ隠れたろうと思う障子一重、その百何十畳の中を、野原のように、うろつく目に、茫々と草が生えて、方角も分らず。その草の中に、榜示杭に似た一本の柱の根に、禁厭か、供養か、呪詛か、線香が一束、燃えさしの蝋燭が一挺。何故か、その不気味さといってはなかったのです。
部屋へ皈って、仰向けに倒れた耳に、添水がカーンと聞こえました。杵の長い顔が笑うようです。渓流の上に月があって。――
また変に……それまでは、二方に五十六枚ずつか――添水に向いた縁は少し狭い――障子が一枚なり、二枚なり、いつも開いていたのが、翌日から、ぴたりと閉りました。めったに客は入れないでも、外見上、其処は体裁で、貼りかえない処も、切張がちゃんとしてある。