Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme
もうもうこんな使いはしたくない。こじきになってもしたくないと思う。
『おれともある者が、ぼろぼろ、涙をこぼしたのが残念だ。銭を見て、泣いたと、先では、考えたろうな。それがいまいましい』
まだ瞼が、腫れぼったい。――往来の者が振り返ると、かれは、泣いたあとを、見られる気がした。いや、涙よごれの顔よりも、じつは若い清盛の身なりの方が、およそ人目を引くものだった。
よれよれな布直垂に、垢じみた肌着ひとえ。――羅生門に巣くう浮浪児でも、これほどは汚くあるまい。もし、腰なる太刀を除いたら、一体何に間違われるか――だ。泥田を踏んで来たような草履や革足袋。うるしのはげた烏帽子は、すこし斜かいに乗っかっている。背丈はずんぐり短かく、かた肥りという体躯だ。
背のわりに、頭が大きい。耳、鼻、口、造作すべてが、大振りなのが、この顔の特徴だった。眉毛はふとく、それにともなう切れ長な眼じりが、下がり気味に流れているため、いささかは愛嬌もあって、あやうく“異相なる小男”の残忍さを救っているという容貌である。
いや、それと、色が白いことである。大きな耳たぶが、血のたれるばかり紅あかとしているのも、この青年の、異相ながら、美しさの一つと数えてよい。