Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme
胎児清盛
べそべそするな。なんだ、あんな女ごときに』
盛遠は、もひとつ、どやすように、清盛の背をたたいて、暗い小路を、先に歩きだした。
胎児清盛
この家には、壁がない。
部屋のさかいは、板仕切りであり、入口には、古布を帳とし、妻戸の代わりに、むしろなど、垂れてある。
いくら寝坊な者でも、これでは隣りのばか騒ぎに、安眠しているわけにゆくまい。――鼓を打つ、鉢をたたく、猥歌をうたう。あげくに今、しりもちでもついたような、家鳴と、男女の笑い声が、一しょに沸いた。
『や? おれは。……しまった。もう、何刻だろう』
眼をさましたとたんに、清盛は、ひどくうろたえた。そばには女が寝ている。たしかに、六条洞院の遊女宿。――盛遠に誘われて来た家である。
『弱ったな。帰らにゃならぬ……』
家へ、なんと、うそをいおう。父忠盛の顔つきが見える。母のガミガミが聞こえるようだ。幸い、叔父から借りてきた金は、みんなまでは、費っていない。――そうだ、今のうちにと、むっくり起きた。
『……が。盛遠は、まだ、騒いでいるのかしら』
女の黒髪を踏むまいと、清盛は、その胸を跨いだ。そして、灯のもるふし穴から、隣りの騒ぎをのぞいてみた。