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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme

Aozora Bunko

と、父忠盛が、口を切ったとき、清盛は、顔を、まっ赤にして、

『やあ』

と、頭へ手をやった。それだけである。それで、この父子は、充分に、心は語りあっていた。

婿なる男は、未来の妻とちぎる女の家へ、三日のあいだは、夜ごと夜ごと、忍んで通うのが慣わしである。

かれもまた、あのまっ暗な道を、三晩も、水薬師の時信の館まで通った。

寒さ、道のわるさ、丹波おろしに、耳もちぎれるばかりな夜を。

しかし、楽しい。またなくかれは楽しかった。恋とは、いえないかも知れないが――どっちの親たちも、知って、知らない顔しているのが、時代の風習である。――母屋も対ノ屋も、なべて寝沈んでいる厚いやみのなかに、かの女の寝屋のともし灯だけが、天地にただ一つの愛情の示しのように妻戸からもれているのを見るとき、清盛は、恋以上にも、夢の子になった。

後朝のわかれも、なかなか、恋に似て、恋よりふかい。ふたりだけには、鳥の音も、霜のこずえも、この世は、そのまま詩であった。

こうして、三夜通いのあと、男は、文を書きおくる。女性も、文を返してよこす。――が、もしいやだったら、それをしなければいいのである。