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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme

Aozora Bunko

『そうだ。けさの子は、たしかに、おれが時子に生ませたものだ。たしかに、おれの……』

都の屋根も、都をめぐる北山東山も、眼のかぎり白い雪の道を、かれの一騎は、なんでそんなに心忙しく行くのかと人に怪しまれるほど急いでいた。やがて、今出川の門につき、父忠盛のまえにかしこまって、

『生まれました……男の子が』と、やや息をはずませて、告げていた。

『生まれたか……』と、忠盛はいった。

あきらかに、瞼のうちが、うるんでいた。それを見て、清盛も、じいんと、眼の底を熱くした。――父ならぬ人を父以上にも慕って、何やら不思議な宿縁の――これからもつづいて行くであろう人間の果てなき血の鎖を――過去から未来へかけて、ぼんやりながめ合っているようなふたりの朝であった。

わずか、ここ両三年の間だけでも、何か大きな社会事変というと、そのほとんどが、宮門の火災と、武力をもつ僧団の暴威であった。――重なものだけを、年表から拾ってみても。

二月九日      興福寺ノ僧徒七千余人、春日神木ヲ奉ジテ、強訴ニ入洛。三日ニワタリ洛内、騒動ス。(保延三年)

二月二十三日    加茂社ノ神館、神宮寺ノ西塔ナド、焼失ス。