Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme
まだら牛がひく御車の簾は、わざと高だかと巻かれてあった。おん年三十六、七、色浅ぐろく、ほお肉のうすい、かなつぼ眼の貴人が、むッつり、唇をむすんで、内座いっぱいにすわっておられた。
鳥羽上皇である。
街の男女は、上皇をたびたびお見上げしていたが、上皇には、通るたびに、街が、物珍らにお見えらしい。眸だけが、ひんぱんに、左右へうごいた。ときには、何かへお眼をとめて、ホホ笑まれたりされるのだった。――と知ると、道ばたの庶民も、上皇の視線の先をさぐって、一しょに笑い合った。――そういう親しみを、不敬とよんで、庶民に土下座を強いたのは、もっと後世の風習である。武将が政権をにぎってからのことだ。武門の威光とか警戒などを、かりにも、ゆるがせにできないような世相人心を、みずからつくりあげたときに、必然、興った制度だった。――当時、朝廷と院政との、二元政治の変則を見たほど、世はすでに、紊れの端緒をみせていたが、まだちまたには、こんなある日の春風も流れてはいたのである。
右近の馬場の桜も、けさあたりを、艶な盛りとして、夕方には、もう散りそめるのではないか。ま昼の馬場いちめん、草萌えの香いも手つだい、咽せるばかりな花の肉感が、そよ風のたびに、顔をなでてくる。