Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme
『かまいません。たとえ、母が忠盛どのと別れても、そなたは、わたくしの子であろが。のう……。母が今出川のやしきを去って、そなたも、小さい弟たちも、さだめし、毎日を、さびしく、みじめに、過ごしておわそうが』
『いえ! ……』と、清盛は、かぶりを振った。
『小さい弟どもも、厩の馬も、みなピンピンして、元気です。たれも、母上のことなど、申してもおりません』
『ホホホホ』と、かの女は、変えた顔いろを、すぐ、笑い消した。ねっちりした女の力で、清盛の手くびを、なんのためか、かたく握った。
『そなたもか。……そなたも、母に別れながら、おりには、会いたいとも、なんとも思わぬのかや?』
『あっ。――離して。……父上が、あなたの桟敷から、こっちを見ています。気がついたようです。離してください』
『平太』
と、かの女は、美しく睨めつけて、
『忠盛どのは、そなたの親ではあるまいが。……母こそは、まことの母。なぜ、忠盛どのばかりそのように慕うのですか』
『…………』
『ね、平太。……おりおりに、遊びに来て給も。まれには、母もそなたの顔が見たい。……母の許へ、遊びに来やい。……瑠璃子さまとも、ちょうどよいお友だちになれるであろ』