Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
不快至極であったには違いない。しかし事件は自己の情事にもふれてくるので、これをあっさり済州奉行所の処置に廻してしまった。ところが済州奉行所でもこれは困った。罪跡といってもすこぶる不明瞭でただ単に「公務怠慢」というだけな差紙なのだ。そこで即時これをまた滄州の苦役場の方へ七年の刑期付きで送りつけた。――七年という刑期は滄州の大苦役場としては、もっとも軽罪のほうなのである。
「ほ。美髯公。この髯男は、城県では評判のいい与力だったはずじゃないか。よろしい、苦役には就けんでもよい。わが屋敷で雑用に使ってみよう」
滄州牢城の牢営長は、公文の差紙を見た日すでにこう呟いた。そしてなお、じっさいの人間を白洲で見るにおよび、いちばいその骨柄に惚れ込んだ容子で、
「なるほど、髯も見事だ!」
と、大いに唸った。すっかりお気に入ってしまったのである。また日をふるに従い、長官公邸の下役から下僕にまで、お髯さん、お髯さん、と朱同を呼ぶ愛称はその人柄への好意とともにたかまっていた。
或る日の如きは、長官が独り小酌している席へ呼ばれて、身の上を訊かれ、何で流罪になって来たかと仔細をたずねられたので、朱同は、友人雷横のことから女太夫と新知事とのいきさつまで、何のかざりもなく話してしまった。