Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「おウウい、舟の衆。渡船じゃねえのか」
「そうだよう。渡船じゃねえよーっ」
「いくらでも駄賃はハズむぜ。潯陽江まで渡してくんねえ。恩に着るよ」
「かねとなら相談にのッてもいいがね。うんと出すかい」
「出すとも、いうだけ出そうじゃねえか」
「よしきた! 乗りねえ」
苫をかぶせた漁船だった。船頭は二人いる。
案外な親切者で、張順の濡れた着物を火に焙ッてくれたり、寒いだろうといって、雑炊鍋の物を馳走してくれ、また自分の小夜着と木枕を出して、
「潯陽江じゃあ、だいぶ間がある。ま、客人、一ト寝み、横になってござらッしゃい」
と、すすめるなど、張順もつい、旅のつかれと、人の情けに温もられて、いつか波上の身をも忘れていた。
――ところが、目がさめてみたときは、もう遅い。体は荒縄でしばられていた。そして、船頭の一人は、自分の肌から抜き取ッた胴巻を口に咥え、手に薄刃のだんびらをひっさげていた。
「やっ? ち、畜生。おれに毒入りの雑炊を食わせやがったんだな」
「あたりめえよ」と、もうひとりの若い者は、張順の体を船ベリに抑えつけて「――縁もゆかりもねえ野郎に、なんで、得もねえ親切気など出すものかよ。